生命保険会社が破たんしても、保険契約自体は、次の生命保険会社へ引き継がれるため、守られると言えますが、2005年に発覚した明治安田生命保険の死亡保険金の不当不払いを契機に、生命保険会社、損害保険会社の保険金不払いが続々と発覚しました。
このことからも、生命保険会社の安全性というものシビアにチェックする必要性が出てきているのです。ではどうやって、生命保険会社の安全性を見極めれば良いのでしょうか。
1.格付け会社の格付けをチェックする
世界的に信頼性が高いのが格付け会社による生命保険会社の格付けです。一般の素人では判断できない、財務状況や事業内容、取引状況、組織構造、ビジネスモデルなど多角的な情報をもとに世界レベルでの格付けを行っているのが格付け会社なのです。
もちろん、この指標を信じ切ってしまうことにも問題はありますが、各付けというのは安全性を基準に生命保険会社を比較する場合の参考指標としては十分に機能するのです。
生命保険会社を格付けしている世界的大手格付け会社
スタンダード&プアーズの格付け情報
保険会社 | 会社分類 | グループ | スタンダードアンドプアーズ格付 | 格付投資情報センター |
---|---|---|---|---|
アイエヌジー生命保険株式会社 | 外資系 | BBB+ (cw) | ||
アクサ生命保険株式会社 | 外資系 | アクサ | A+ | AA |
アクサダイレクト生命保険株式会社 | 外資系 | アクサ | ||
朝日生命保険相互会社 | 内国大手 | BB- | ||
アメリカンファミリー生命保険会社 | 外資系 | AA- (n) | ||
アリアンツ生命保険株式会社 | 外資系 | |||
AIG富士生命保険株式会社 | 損保子生保 | AIG(富士火災) | ||
NKSJひまわり生命保険株式会社 | 損保子生保 | NKSJ | A+ | AA- |
オリックス生命保険株式会社 | カタカナ系 | オリックス | A- | A(p) |
カーディフ生命保険会社 | 外資系 | |||
株式会社かんぽ生命保険 | 独立系他 | |||
クレディ・アグリコル生命保険株式会社 | 外資系 | |||
ジブラルタ生命保険株式会社 | 外資系 | 米プルデンシャル | AA- (n) | AA- |
住友生命保険相互会社 | 内国大手 | 三井住友生命 | A | A |
ソニー生命保険株式会社 | カタカナ系 | ソニー | A+ | AA |
ソニーライフ・エイゴン生命保険株式会社 | カタカナ系 | ソニー | ||
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社 | 損保子生保 | NKSJ | ||
第一生命保険株式会社 | 内国大手 | 第一生命 | A | A+ (n) |
第一フロンティア生命保険株式会社 | 内国子損保 | 第一生命 | A+ (n) | |
大同生命保険株式会社 | 内国中堅 | T&D | A- | A+ |
太陽生命保険株式会社 | 内国中堅 | T&D | A- | A+ |
チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド | 外資系 | |||
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社 | 内国中堅 | T&D | A+ | |
東京海上日動あんしん生命保険株式会社 | 損保子生保 | 東京海上 | AA- (n) | AA+ |
東京海上日動フィナンシャル生命保険株式会社 | 損保子生保 | 東京海上 | AA- | |
日本生命保険相互会社 | 内国大手 | A+ | AA | |
ハートフォード生命保険株式会社 | 外資系 | |||
ピーシーエー生命保険株式会社 | 外資系 | |||
富国生命保険相互会社 | 内国中堅 | 富国生命 | A- | AA- (n) |
フコクしんらい生命保険株式会社 | 内国子損保 | 富国生命 | ||
プルデンシャル生命保険株式会社 | 外資系 | 米プルデンシャル | AA- (n) | |
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 | 外資系 | 米プルデンシャル | AA- (n) | AA- |
マスミューチュアル生命保険株式会社 | 外資系 | AA- (n) | ||
マニュライフ生命保険株式会社 | 外資系 | AA- | ||
三井生命保険株式会社 | 内国大手 | 三井住友生命 | BBB- | BBB- (n) |
三井住友海上あいおい生命保険株式会社 | 損保子生保 | MS & AD | A+ | AA- |
三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 | 損保子生保 | MS & AD | A+ | AA- |
みどり生命保険株式会社 | 共済系 | |||
明治安田生命保険相互会社 | 内国大手 | 明治安田 | A | AA- |
メットライフアリコ | 外資系 | メットライフ(AIG) | AA- (n) | |
メディケア生命保険株式会社 | 内国子損保 | 三井住友生命 | A- | |
ライフネット生命保険株式会社 | 独立系他 | |||
楽天生命保険株式会社 | 共済系 | 楽天 |
スタンダード&プアーズの格付けの見方
- Aaa 信用力が最も高いと判断され、信用リスクが最低水準にある債務に対する格付。
- Aa 信用力が高いと判断され、信用リスクが極めて低い債務に対する格付。
- A 中級の上位と判断され、信用リスクが低い債務に対する格付。
- Baa 中級と判断され、信用リスクが中程度であるがゆえ、一定の投機的な要素を含みうる債務に対する格付。
- Ba 投機的と判断され、相当の信用リスクがある債務に対する格付。
- B 投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付。
- Caa 投機的で安全性が低いとみなされ、信用リスクが極めて高い債務に対する格付。
- Ca 非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にあるが、一定の元利の回収が見込める債務に対する格付。
- C 最も格付が低く、通常、デフォルトに陥っており、元利の回収の見込みも極めて薄い債務に対する格付。
上記に加えて、さらに「+」「なし」「-」で3段階に細分化されます。
一般的には、BBB以上であれば問題ないという見方がされることが多いが、上記のスタンダード&プアーズの格付け例では、2社を除きA以上になっていることから、A以上の生命保険会社の方が安全と判断して良いでしょう。
2.ソルベンシーマージン比率をチェックする
ソルベンシーマージン比率は、保険金に対する支払い能力のことを指す指標です。実際の計算式にはあまり意味をなさないのですが、この比率が200%を切ってしまうと、金融庁によって、早期に経営の健全性の回復を図るための措置がとられてしまうのです。
200%を切る場合は、適切に保険金の支払いができる能力が著しく低下していることを示すのです。
- ソルベンシーマージン比率が高い → 支払い能力が高い
- ソルベンシーマージン比率が低い → 支払い能力が低い
ということです。
多くの生命保険のサイトやFPは、この200%が健全性の目安とされていますが、実際には過去に破たんした生命保険会社も200%を超えていたということもあり、本来は400%以上の生命保険会社が安全だと考えるべきでしょう。
ただし、設立間もない生命保険会社の場合、この比率が1000%を超えることも珍しくなく、時間経過とともに数値が下がっていってしまうため、設立間もないネット生保などはソルベンシーマージン比率が1000%と超えていても安心しきってしまうのは危険なのです。
生命保険のソルベンシー・マージン比率
保険会社 | 会社分類 | グループ | ソルベンシー・マージン比率 |
---|---|---|---|
アイエヌジー生命保険株式会社 | 外資系 | 988.80% | |
アクサ生命保険株式会社 | 外資系 | アクサ | 674.10% |
アクサダイレクト生命保険株式会社 | 外資系 | アクサ | 2141.00% |
朝日生命保険相互会社 | 内国大手 | 495.80% | |
アメリカンファミリー生命保険会社 | 外資系 | 686.40% | |
アリアンツ生命保険株式会社 | 外資系 | 8063.80% | |
AIG富士生命保険株式会社 | 損保子生保 | AIG(富士火災) | 1253.50% |
NKSJひまわり生命保険株式会社 | 損保子生保 | NKSJ | 1555.30% |
オリックス生命保険株式会社 | カタカナ系 | オリックス | 802.80% |
カーディフ生命保険会社 | 外資系 | 661.10% | |
株式会社かんぽ生命保険 | 独立系他 | 1467.90% | |
クレディ・アグリコル生命保険株式会社 | 外資系 | 1530.30% | |
ジブラルタ生命保険株式会社 | 外資系 | 米プルデンシャル | 893.00% |
住友生命保険相互会社 | 内国大手 | 三井住友生命 | 832.80% |
ソニー生命保険株式会社 | カタカナ系 | ソニー | 2281.80% |
ソニーライフ・エイゴン生命保険株式会社 | カタカナ系 | ソニー | 8034.50% |
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社 | 損保子生保 | NKSJ | 1596.10% |
第一生命保険株式会社 | 内国大手 | 第一生命 | 715.20% |
第一フロンティア生命保険株式会社 | 内国子損保 | 第一生命 | 938.60% |
大同生命保険株式会社 | 内国中堅 | T&D | 1043.20% |
太陽生命保険株式会社 | 内国中堅 | T&D | 823.40% |
チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド | 外資系 | 1097.60% | |
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社 | 内国中堅 | T&D | 648.40% |
東京海上日動あんしん生命保険株式会社 | 損保子生保 | 東京海上 | 2195.20% |
東京海上日動フィナンシャル生命保険株式会社 | 損保子生保 | 東京海上 | 1067.80% |
日本生命保険相互会社 | 内国大手 | 696.40% | |
ハートフォード生命保険株式会社 | 外資系 | 792.50% | |
ピーシーエー生命保険株式会社 | 外資系 | 962.20% | |
富国生命保険相互会社 | 内国中堅 | 富国生命 | 970.80% |
フコクしんらい生命保険株式会社 | 内国子損保 | 富国生命 | 568.70% |
プルデンシャル生命保険株式会社 | 外資系 | 米プルデンシャル | 748.90% |
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 | 外資系 | 米プルデンシャル | 892.20% |
マスミューチュアル生命保険株式会社 | 外資系 | 586.20% | |
マニュライフ生命保険株式会社 | 外資系 | 1229.10% | |
三井生命保険株式会社 | 内国大手 | 三井住友生命 | 601.30% |
三井住友海上あいおい生命保険株式会社 | 損保子生保 | MS & AD | 1309.80% |
三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 | 損保子生保 | MS & AD | 884.00% |
みどり生命保険株式会社 | 共済系 | 9955.50% | |
明治安田生命保険相互会社 | 内国大手 | 明治安田 | 930.30% |
メットライフアリコ | 外資系 | メットライフ(AIG) | 1032.90% |
メディケア生命保険株式会社 | 内国子損保 | 三井住友生命 | 2477.60% |
ライフネット生命保険株式会社 | 独立系他 | 2266.00% | |
楽天生命保険株式会社 | 共済系 | 楽天 | 1076.60% |