「生命保険は2年たったら、告知義務違反しても問題ないから、重要なことは言わない方がいいよ。」なんてことを聞いたことはないでしょうか。これは大きな勘違いです。大きな保険料を支払う生命保険だからこそ、誤解をせずに利用しましょう。
2年をすぎても、生命保険の契約が解除されてしまうリスクがある
原則は責任開始日(保障が開始する日)から2年以内に告知義務に故意もしくは重大な過失による違反がわかると保険会社は、その保険契約を解除することが可能です。
つまり、これだけを見ると逆説的に言えば、「2年たったら、告知義務違反をしても大丈夫。」と考えられてしまうため、このようなうわさが広まってしまうのです。
2年経過しても契約が解除されてしまう例外事項
- 給付金の支払事由が発生
- 保険料の払込免除事由が発生
- 告知義務違反となる事実に基づいて、被保険者が入院または通院をした
これは、給付金の対象になる入院などを2年以内にした場合ということになります。
「えっ、これだけなら2年経過するのを待った方が得なような気がする。」
と考える方もいるかもしれませんが、これだけではありません。
詐欺と判断されれば2年経過後も契約が解除されてしまう
生命保険会社との契約書には
「詐欺および不法取得目的による無効について」
という条文があり
「保険加入に際して、ご契約者または被保険者に詐欺行為があった場合、保険契約を取消しまたは無効とさせていただくことがあります。この場合、すでにお払込みいただいている保険料は払戻しません。」
という文言が用意されているのです。
詐欺による無効というのは、実は多くは発生していません。過去の判例だけを見れば詐欺による保険料契約の無効という事例は少なく、生命保険会社も訴えることでのイメージダウンなどの影響もあるため、裁判に持ち込まれるケースというのが少ないのが実状です。
しかし、裁判所の判断によって、詐欺による無効になってしまうことが今後もないのか?と言われるとそれは誰にもわかりません。可能性はゼロではないのです。
なぜ、告知義務違反をすべきでないのか?
告知義務違反をしても、2年を経過すれば保険契約が無効になる可能性は少ないですが、「保険契約が無効になるかも」という不安を抱えて長期間を生活することになります。
生命保険というのは安心を買う商品であり、安心して生活ができることが大きなメリットの商品です。にもかかわらず「もしかしたら保険契約が無効になるかも」と不安を抱えて、何十年も生活するのであれば元も子もありません。精神的なデメリットが大きすぎるのです。
現実的にきちんと告知をしてしまうと生命保険に入れないとしても、予定利率も少ない現在では、貯蓄と社会保障のみでも十分に対応が可能なのです。
そのため、筆者の意見としては告知義務違反はするべきでないと考えるのです。