生命保険というのは、相互扶助の仕組みということを聞いたことがある方も多いと思います。たとえば、1000人に1人の方が死亡してしまうリスクがある場合に、1000人が1人1万円ずつ保険に入ることで、運悪く死亡してしまう1人になってしまった場合に1000万円分が支払われるという構造です。お互いにそのリスクを軽減するために入るものが生命保険の原則jなのです。
同じ死亡率なのに保険料が違う生命保険
「あれっ、でも死亡率って過去のデータから算出しているのだから、生命保険会社が同じデータを使っているのであれば、保険料は同じになるはずなんじゃないの?」
こう思う方は非常にするどい見識をお持ちの方ですが、指摘の通り生命保険会社は同じ死亡率のデータを元に生命保険の保険料を決めています。
生保標準生命表と呼ばれるもので、厚生労働省が発表している死亡率よりも2割ほど死亡率を高く見積もった表をすべての保険会社が利用しているのです。
これが予定死亡率と呼ばれるもので、これだけで保険料が決まるのであれば生命保険の保険料はどの保険会社も同じ額になるはずなのです。
生命保険の保険料を構成する要素
生命保険の保険料というのは、3つの要素から計算されています。
1.予定死亡率
年齢ごとの死亡率で上記の通りで「生保標準生命表」にあるデータをすべての生命保険会社が利用しています。つまり、どの生命保険会社でもほぼ同じになります。
2.予定利率
予定利率というのは生命保険会社が預かった保険料を資産運用して増やすことができる利率のことを言います。これは生命保険会社ごとに違うものです。資産の運用が上手な生命保険会社ほど予定利率は高く、保険料は安くなるのです。逆に資産運用が下手な生命保険会社の場合には保険料が高くなります。予定利率は1.00%~2.00%に設定されていること多いです。これは時代とともに変わりますが、定期預金の2倍~3倍ほどの金利で運用していると言えます。
3.予定事業費率
実は、これが生命保険の保険料が会社によって大きく違う理由です。事業費というのは、生命保険会社の経営コストのことです。CMなどの広告宣伝費や人件費、店舗の賃料や電気代、さまざまなものが事業費に含まれます。
お察しの通りで、事業費が高い、経営コストが高い生命保険会社ほど事業費率は高くなってしまい、保険料は高くなってしまうのです。
CMをどんどん行っている生命保険会社が信頼できると思ったら、その分の広告宣伝費は実は保険料として契約者の保険料から徴収されていることになっているというわけです。
だからこそ、事業費が少ないネット系通販型生命保険は安い保険料で生命保険を提供することができ、人気が高まっているのです。
実際に保険料を比較してみました
30歳:男性 10年定期保険 保険金額3000万円
順位 | 保険会社 | 純保険料 | 付加保険料 | 営業保険料 |
---|---|---|---|---|
1位 | 外資系生保 | 2,615 | 205 | 2,820 |
2位 | 損保系生保 | 2,625 | 1,125 | 3,750 |
3位 | 国内生保 | 2,611 | 1,499 | 4,110 |
4位 | 外資系生保 | 2,615 | 1,555 | 4,170 |
5位 | 損保系生保 | 2,625 | 2,025 | 4,650 |
6位 | 国内生保 | 2,611 | 2,189 | 4,800 |
7位 | 損保系生保 | 2,630 | 2,260 | 4,890 |
8位 | 国内生保 | 2,615 | 2,305 | 4,920 |
9位 | 損保系生保 | 2,630 | 3,190 | 5,820 |
10位 | 損保系生保 | 2,630 | 3,340 | 5,970 |
11位 | 外資系生保 | 2,618 | 3,472 | 6,090 |
12位 | 国内生保 | 2,620 | 4,550 | 7,170 |
13位 | 国内生保 | 2,630 | 4,900 | 7,530 |
14位 | 国内生保 | 2,632 | 5,288 | 7,920 |
15位 | 国内生保 | 2,632 | 5,378 | 8,010 |
純保険料というのは、予定死亡率を元に予定利率を加味して計算された保険料です。この純保険料は予定利率での差しかないため、ほぼどの生命保険会社でも同じ水準にあり、数十円の差しかないのです。
これがそのまま支払う保険料になるのであれば、どの生命保険会社でも同じということになります。
しかし、生命保険会社の社員の給料やCMの広告費、保険の営業マンへの報酬など様々な経営コストが保険料に加算されてしまいます。これが付加保険料に含まれるものです。
驚くことに一番安い外資系生保の付加保険料は205円ですが、一番高い国内生保の場合は5378円も付加保険料が発生しているのです。国内生保の場合は26倍も多く保険料を支払っているということになるのです。
結果的に契約者が支払う保険料のことを営業保険料と言います。この営業保険料を見ても、一番安い生命保険会社と一番高い生命保険会社には2.84倍もの差があり、約6200円も違うのです。
30年保険料を支払うとしたら、その差は223万円にもなってしまいます。
まとめ
生命保険の保険料には、生命保険会社の広告費や人件費、管理費などのコストが含まれているのです。無駄にCMをしている、営業マンが多い、贅沢をしている生命保険会社の保険料は高いのです。
そんな保険料を支払うほどばかばかしいものはないのです。
生命保険を選ぶときには複数の生命保険会社の商品を比較検討して、保険料の安いものを選ぶことをおすすめします。